○○○から見る朝鮮学校 第1回 学校保健

朝鮮学校は日本の制度の中で「各種学校」に位置付けられているため、子どもたちが安全・安心して学校生活を送るための制度がありません。

例えば学校で行われる定期検診。日本の学校(いわゆる一条校)であれば学校保健法に基づいて各学校に学校医制がしかれており、各種の検診が行われていますが、全国の朝鮮学校では地域の在日朝鮮人や良心的な日本の医師たちがほとんどボランティアで学校に出向いて検診を行っています。

一方、全国の朝鮮学校においては保健室の場所はあるものの、ほんの一部の例外を除いては養護教諭が配属されている学校はありません(その例外でも、毎日、養護教諭が在勤しているというわけではなく、一人の養護教諭が数校の朝鮮学校を担当したり、定期的に看護師が保健室に出向いているといった状態です)。

埼玉朝鮮初中級学校・幼稚園には保健室の場所自体はありますが、非常に厳しい予算の関係で養護教授を配属することができません。従って学校生活の中での怪我や病気の対応としては、保健室で休息するか、早退して家族が病院に連れていくといった対応しか取れず、養護教諭等の専門的な知識の下で適切な処置が受けられない難しい状況にあるのです。

また、通常は養護教諭が中心となって行う健康教育や性教育をはじめとした保健授業についても、日本の学校の実施状況と比較しても不十分な状況でしたが、近年では朝鮮学校を卒業した看護師たちによる保健授業の取り組みが盛んになってきています。

足りないものを見つけ、みんなの力で補い、学びの場を守る、それが朝鮮学校の歴史の一面です。

埼愛キムチ新聞第1号(2020年10月19日発行)より


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