朝鮮学校をもっと知る その1  日本にある外国人学校

日本には朝鮮学校以外にも様々な外国人学校があります。中華学校、韓国学校、ブラジル人学校、ドイツ人学校などのナショナル・スクールに分類できる学校や、インターナショナル・スクールなど、200校前後の外国人学校があるとされており、数万人の子どもたちがそこで学んでいます。

朝鮮学校、ブラジル人学校などのナショナル・スクールにおいては、日本語以外の民族(国)の言葉による普通教育(専門教育、職業教育などと区別される一般教養的教育)が実施され、数学や理科科目などを学んでいます。それに加え、民族(国)の歴史、文化などを学ぶ継承語教育・民族教育も行われています。また、ほとんどの学校で日本語も教えています。

インターナショナル・スクールにおいては、概ね英語による普通教育が施され、子どもたちを国際人として育てる様々な取り組みがなされています。 

これらの外国人学校は、ごく一部の例外を除いて「正規の学校」とは認められていません。日本の学校法制は、学校教育法によって定められており、外国人学校は、原則として、同法1条が定める正規の学校=「1条校」になることはできず、自動車教習所など同じ各種学校としての認可しか与えられていません。

こうした法制度のもとで、認可を取得し、教育を行ってきました。しかし、「1条校ではない」との理由で、日本の学校と比べてさまざまな差別的取り扱いがなされているのが現状です。

日本政府は、1条校ではないという理由で外国人学校を私学助成の対象にしていないため、外国人学校には国庫からの助成は一切ありません。都道府県や市町村レベルでは、独自の判断で補助金を交付しているところもありますが、私立学校の数分から10分の1以下、あるいはごくわずかです。

そのほか、大学への入学資格が当然に認められない(大学の個別判断に委ねられている)、欧米系のインターナショナル・スクール以外の外国人学校は、寄付金が税制上の優遇措置を受けられない問題(一部例外の外国人学校がある)、学校給食・学校保健・学校保険などからも排除され、同じ地域に住む子どもたちなのに、同じ栄養状態、健康状態が保障されないといった問題もあります。

また、ブラジル人学校の半数以上は「各種学校」の認可を取得できない「未認可校」であり、公的な財政支援は一切ありません(私塾扱いであるため、授業料に消費税がかかる、通学定期券を購入することができないなどの問題があります)。

外国人学校が外国籍、民族的マイノリティの子どもの学習権保障のために、極めて重要な役割を担っているにもかかわらず、日本にはこれらの外国人学校支える法制度が存在しないのです。

2010年に開始された高校無償化制度では、1条校に加えて、各種学校を取得している外国人学校も制度の対象となり、対象となる外国人学校の生徒にも、就学支援金が国庫から支給されました。歴史上、外国人学校の生徒に国からお金が支給されたのは初めてのことで画期的と言えますが、朝鮮学校のみ制度から除外されたのです。

埼玉県はこのような状況で県民でもある埼玉朝鮮学校の子どもたちを手厚く保護せず、無償化制度における「朝鮮学校排除」の論理を、補助金支給停止継続の理由としだしたのです。

埼愛キムチ新聞第5号(2021年3月6日発行)より


「埼愛キムチ新聞」は埼愛キムチの頒布会毎に発行しています。このページやPDF版を、周りの方々にぜひとも広めていただき、埼玉朝鮮学校をはじめ朝鮮学校の現状を多くの方々に知っていただけたらと思います。