埼愛自由日記・その⑧ 学事課との交渉~「重く受けとめる」発言を考える

 学事課(総務部管下)とは埼玉県における私立学校や宗教法人法の施行に関することを担当する部署であり、そして埼玉朝鮮学園への補助金支給についての業務を担当する部署でもある。

 学事課の“名誉”の為に言っておくと、2010年度に補助金支給が停止されてから昨年度まで、学事課としては埼玉朝鮮学園への補助金予算を計上している。補助金支給の規程等に基づいて予算化された総務部の予算案は、県議会にはかられる前の、知事が確認する段階で埼玉朝鮮学園への補助金が取り除かれ、当該年度の予算案となる。毎回の交渉において概ね学事課からはこのような説明を受けている。

 つまり、補助金を担当する担当課が、「補助金支給に問題なし」として規程等に基づいて、埼玉朝鮮学園に補助金を支給する予算を計上しているが、知事がその責任と行為において、補助金支給の停止の判断を継続している構図である。

 補助金停止以降は定期的に、多い年はほぼ毎月、学校保護者や学園理事が会社を休んだり仕事を調整したりして学事課を訪問し、補助金再開を要望してきた。時には、学課課長自らが、「拉致問題が解決していないのに、何しに来たのか」と酷い暴言から始まった時もあった。

 ただ、「有志の会」や「埼玉ネット」などの補助金再開に取り組む団体の活動もあり、ここ2~3年の要望の場においては、県が補助金支給の停止を継続する理由に対しの、こちら側の反論にまともに答えられていない。学事課としては、「学事課としては毎年予算を計上しており、補助金支給を停止しているのは知事の判断であるので、その理由を勝手に代弁できない(したくない?)」と言ったところが本音ではないかと考えている。

 2015年に埼玉弁護士会が県の補助金停止問題に対し、埼玉朝鮮学園からの人権救済申立を受け調査、検討した結果として県への「決定書(警告)」を出したことについて、昨年2月の要請の場で学事課副課長は、「重く受け止めている」との認識を示した(警告については「埼愛キムチ新聞」第24号を参照)。学事課は常々、「県は組織であるので、学事課や職員個人の意見などはなく、知事と一体のものである」ことを強調している。ならば、知事も警告に対しては、「重く受け止めている」ことになる。

 ここで知事の見解に大きな矛盾が生まれる。2022年に人権・男女共同参画課課長が学校保護者との面談の冒頭に「朝鮮学校の補助金は人権の問題ではない」と発言したのであるが、一方では「県の行為は重大な人権侵害である」との埼玉弁護士会の警告を「重く受け止める」との認識を示しつつ、もう一方では「人権の問題ではない」との認識を改めないことを知事はどう両立させるのであろうか(人権・男女共同参画課課長の発言については「埼愛キムチ新聞」第17号を参照)。

埼愛キムチ新聞第26号(2024年6月29日発行)より


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