埼愛自由日記・その⑨ 補助金不支給の“新たな理由”?

 補助金の不支給については、最高裁まで争われた国の就学支援金裁判において、朝鮮総聯と朝鮮学校との関係性が教育基本法で禁じる「不当な支配」に当たらないとの十分な確証が得られないという国の主張が認められたことを理由としております。

 これは埼玉朝鮮学園が埼玉県総務部学事課宛に送付した「確認事項・その2(2024年4月16日)」の回答(2024年5月24日)における「補助金が支給できないとする理由」に対する理由である。

 全国5か所で行われた就学支援金裁判は全て原告の敗訴となり、不当にも朝鮮学校(高級部)は授業料無償化の対象外となった(『埼愛キムチ新聞13号・朝鮮学校をもっと知る・その6「高校無償化」からの朝鮮学校排除』参照)。

 そもそも、埼玉朝鮮学園は、この裁判における原告ではない。また、判決では、「朝鮮学校が朝鮮総聯から不当な支配を受けている」と認定されたわけでもない。

 2024年2月14日に行われた埼玉朝鮮学園と学事課の話し合いの場においては、学事課職員自らが、

  • 同裁判において埼玉朝鮮学園が原告となっていないこと
  • 国の裁判の主張の中のいわゆる『本件朝鮮学校を含む』、に、埼玉朝鮮学園が含まれていないこと

との認識を示した。

 学園関係者が「本園が原告でもない国の裁判の結果をもって、埼玉県が補助金を支給できないとする理由を明確にお答えください。」と質問しても、学事課職員は、冒頭のような“ズレた”返答に終始した。

 就学支援金は国の制度であり、埼玉朝鮮学園が支給の再開を求めているのは私立学校運営補助金という埼玉県が定めた制度である。少なくとも、「なぜ、国の裁判の結果が、埼玉県の制度適用に関係するのか」について、しっかりと説明する義務がある(因みに、埼玉朝鮮学園は“当事者” 朝鮮総聯から不当な支配を受けていないと何度も断言しているが、そのことに対する県の返答はいつもない)。

 近日中に埼玉朝鮮学園は、

■外国人学校・民族学校の制度的保障を実現するネットワーク・埼玉(埼玉ネット)
■誰もが共に生きる埼玉県を目指し、埼玉朝鮮学校への補助金支給を求める有志の会(有志の会)
■朝鮮学校とともに歩み、私たち・우리(ウリ)の問題として補助金停止を考えるプロジェクト(ウリ・プロ)

との連名で埼玉県知事宛に公開質問状を提出し、「有志の会」のホームページでも公開する。

 あたかも補助金支給の再開ができない理由が埼玉朝鮮学園にあるかのような埼玉県・知事の態度は到底容認できることではない。皆様がこの問題に関心を寄せてくださることが大きな支えとなります。

埼愛キムチ新聞第28号(2024年11月14日発行)より


「埼愛キムチ新聞」は埼愛キムチの頒布会毎に発行しています。このページやPDF版を、周りの方々にぜひとも広めていただき、埼玉朝鮮学校をはじめ朝鮮学校の現状を多くの方々に知っていただけたらと思います。