埼愛自由日記・その⑩ 公開質問状に対する大野元裕埼玉県知事の回答
2024年11月13日付で、埼玉朝鮮学園は補助金問題に取り組む三団体と連名で大野元裕埼玉県知事に公開質問状を送付した(有志の会ホームページ参照)。内容は、
①埼玉県が補助金不支給の理由とする、「最高裁まで争われた国の就学支援金裁判において、朝鮮総聯と朝鮮学校との関係性が教育基本法で禁じる「不当な支配」に当たらないとの十分な確証が得られないなという国の主張が認められた」については、埼玉朝鮮学園はこの裁判の当事者でもなく、国の就学支援金と埼玉県の私立学校運営補助金は別の制度であることから、この裁判の結果を以て、県の認可基準を満たし運営されている同学園への補助金の支給ができないとする県の判断の根拠を示したことにはならない、
②埼玉弁護士会の警告について、県自らが「重く受け止めている」としつつ、「極めて重大な人権侵害」である補助金不支給を継続することは、『埼玉県こども・若者基本条例(第三条・全てのこども・若者について、個人として尊重され、その基本的人権が保障されること、人種、国籍、性別、障害の有無等による差別的取扱いを受けることがないこと)』にも抵触する…といったものである。
12月25日に知事名で回答が届いた。県は“理由”があって補助金支給しているはずであり、質問はその理由や根拠を確認しているに過ぎないのであるが、1カ月以上も回答を留保したうえでの回答は実に酷いものであった。
①については「最高裁まで争われた国の就学支援金裁判において、朝鮮総聯と朝鮮学校との関係性が教育基本法で禁じる「不当な支配」に当たらないとの十分な確証が得られないなという国の主張が認められた」との従来の内容を繰り返し、
②についても弁護士会の警告は「重く受け止めている」としつつ、再び「最高裁まで争われた…」を繰り返し、だから『条例』に抵触しない…との内容であった。
京都府や愛知県、兵庫県などは現在でも朝鮮学校に補助金を支給しており、言うまでもなくその支給の判断に埼玉県が言う「国の就学支援金裁判…」云々は関係なく、なんらの法律等の違反でもない(このことは埼玉県も認めている)。
埼玉県が補助金の不支給を継続するのは県独自の判断があるはずであり、その判断の根拠を明示できないのは、「朝鮮学校には補助金を支給しない」という結論が先にあっての差別的対応との批判を避けることはできない。ある特定の集団への人権侵害を行政自らが行いつつ、その行政が率先して「…人種、国籍、性別、障害の有無等による差別的取扱いを受けることがない…」とうそぶくことの怖さを感じるのは私だけではないはずだ。補助金支給の再開を実現するためには、このような埼玉県・知事の開き直りを世に問い、より多くの良識ある方々の行動に期待するしかない。
埼玉朝鮮学園は補助金問題に取り組む団体とともに『声明(~〈わたし〉たちにとって大切な子どもたちのために~)』を発表し、一般の個人・団体から広く賛同を募る活動を開始する(詳細は近日、有志の会ホームページで公開)。
埼愛キムチ新聞第29号(2025年2月1日発行)より
「埼愛キムチ新聞」は埼愛キムチの頒布会毎に発行しています。このページやPDF版を、周りの方々にぜひとも広めていただき、埼玉朝鮮学校をはじめ朝鮮学校の現状を多くの方々に知っていただけたらと思います。