埼愛自由日記 その2 埼玉県県民生活部人権・男女共同参画課との交渉

 「朝鮮学校の補助金は人権の問題ではないんです」。これが朝鮮学校の保護者達が県庁の会議室に通されて席に着くやいなや、ニヤニヤとしながら人権・男女共同参画課の課長が放った言葉である。

 補助金が不支給となって10年以上経つが、この間、新型コロナの影響などで中断はありながも、1~2カ月に1回、埼玉朝鮮初中学校のアボジ(父親)会を中心に、埼玉県総務部学事課と交渉し、補助金の再開を要請してきた。昨年の12月、要請の対象を変え、埼玉県において諸々の人権施策を担当する人権・男女共同参画課と交渉することにした。子ども教育権、それも民族的マイノリティの問題である補助金不支給について、「人権」を取り扱うところならば、何とか話を聞いてくれ、何かしらの前進があるのではないかと期待したからだった。

 12月の交渉では副課長の他一名と、人権・男女共同参画課が同席を依頼したであろう、学事課の職員もいた。

 私たちが聞きたかったのは、①埼玉弁護士会から県の補助金停止問題に対し、2013年に会長声明が出され、2015年には埼玉朝鮮学園からの人権救済申立を受け調査、検討した結果として県への「警告」がだされたこと(朝鮮学校の処遇に関して「警告」が出されたのは全国の問題がいかに深刻な人権侵害を引き起こしているかということを如実に示している)について、②日本が批准している人種差別撤廃条約や子どもの権利条約の各委員会から朝鮮学校への処遇差別について、度々、是正勧告等が出されていることについてどう考えているのかであったが、「ここは人権侵害がどうかを判断するところではないので、法務局に行ってくれ」、「補助金のことは学事課と話をしてくれ」と言うだけで、全くこちらの質問に答えなかった。副課長では話にならないので、課長との交渉を求めたところ、「課長が会う」とのことだったので、期待していた1月18日の交渉の冒頭での発言が、「…人権の問題ではない…」だったのだ。

 人権・男女共同参画課は朝鮮学校の補助金についての付帯決議(「…拉致問題等が解決されるまで予算の執行を留保すべき」・2012年3月19日・予算特別委員会)の方が、弁護士会による「警告」や人権諸条約よりも重要と考えているのだ。このような暴言が許されて良いはずがないし、朝鮮学校に通う子どもたちは行政によって“二度差別された”のだと感じた。

 私たちはこのような行政の対応を放置してはおけない。改めて、人権・男女共同参画課の見解を問うべく、「公開質問状」の提出などを考えている。

※みなさまの知恵やアドバイスも募集しています。

埼愛キムチ新聞第17号(2023年1月28日発行)より


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