大野元裕新埼玉県知事に埼玉朝鮮学校への補助金の再開を求めるメッセージを提出しました

2019年9月12日、「誰もが共に生きる埼玉県を目指し、埼玉朝鮮学校への補助金支給を求める有志の会」は、大野元裕新埼玉県知事に、私たちの考えを伝え、埼玉朝鮮学校への補助金の再開を求めるメッセージを提出しました。

大野知事は選挙前に、候補者に対するアンケートで朝鮮学校への補助金についての考えを尋ねられた際、「拉致問題や非核化など、我が国に対する脅威と問題が継続する中で、補助は困難です」と答え、また知事着任後のインタビューでは、「政治と教育は違う。一方で、県のお金を使うということは、県民が納得しないといけない。そんな中で、(拉致問題解決まで予算執行を留保すべきだという)県議会の付帯決議もあり、理解されているとは言えない状況だ。理解を得る努力はするが、直ちに補助金を拠出する環境にはないと思っている」と答えています。

このような知事の考えはとても残念です。公約として掲げた「共生社会プロジェクト」、また参議院時代に策定に尽力したヘイトスピーチ解消法の理念をだいじに、拉致問題に対して何の責任もなく、何もできない、朝鮮学校に通う子どもたちが不利益を被ることのないよう、「あらゆる人に居場所のある共生社会の実現」(「共生社会プロジェクト」)を目指して公平で民主的な県政を進めていただきたいと、私たちの気持ちをお届けしました。

大野知事に直接お目にかかることはできませんでしたが、メッセージを知事秘書におわたししました。また、県議会議員の方々へもお届けし、ご協力をお願いいたしました。有志の会では引き続き、民族や国籍の違いによってだれも不当な扱いを受けたり差別されたりしない埼玉県を目指して知事、県議会議員、県民のみなさんに働きかけていきます。

大野知事にお目にかかれませんでしたが、知事秘書にメッセージをおわたししました
共産党の伊藤岳参議院議員(中央右)と秋山もえ県議(中央左)には直接メッセージをおわたししました
埼玉民主フォーラムへもメッセージを届けました

埼玉県知事 大野元裕様

2019年9月2日

新知事へのご挨拶

私たちは埼玉県が様々な違いのある人々の共生を支える地域であることを願い、集まった「誰もが共 に生きる埼玉県を目指し、埼玉朝鮮学校への補助金支給を求める有志の会」(以降、有志の会)と申します。 人には生まれや育ち、身体や心の有り様など様々な違いがあります。例えば、経済状態、宗教、思想・信条、性、性的指向、年齢、⺠族、国籍などの違いです。それらの違いによって不当な扱いを受けてはなら ないし、いかなる差別も許されてはならないと考え、県内において人権啓発イベントや学習会を開催しながら、埼玉朝鮮学校への補助金支給再開を求めて活動しております。

さて、今回の知事選挙においてのご当選、そして新知事就任誠におめでとうございます。当初は自⺠党候補への苦戦が報道されていましたが、野党と市⺠が力を合わせた終盤からの追い上げには目を見張るものがありました。有志の会関係者には「自⺠党候補ではなく、ぜひ大野さんに知事になってほしい」という声も多く上がっていました。というのも、公約である『共生社会プロジェクト』、『世界のSAITAMA プロジェクト』など、「あらゆる人に居場所がある共生社会の実現に向けた街づくりに取り組む(知事就任会見)」という姿勢を支持しそれに共感する方が多かったからです。また、在日朝鮮人に対する差別が強まるなかで、大野知事が参議院議員時代にヘイトスピーチ解消法の策定に尽力されていたことも心強く感じております。

私たち有志の会は、声明を発表し(2018年2月1日)、記者会見で次のことを述べました。

1996 年、埼玉県議会は全国に先駆けて「子どもの権利条約の普及啓発を推進する決議」を全会一致 で採択しました。子どもの権利条約は、「教育についての子どもの権利を認める」ものとし(28条)、「いかなる差別もなしにこの条約に定める権利を尊重し、及び確保する」(2条)、また⺠族的マイノリティらが「自己の文化を享有し、自己の宗教を信仰しかつ実践し又は自己の言語を使用する権利を否定されない」(30条)と謳っています。私たちはこの条約の理念に共感するとともに、この決議を導いた県⺠、県議会を誇りに思います。そして以下に示されているように、教育行政が先頭に立ち、県内に住む全ての人々の人権尊重に向けて尽力していることに限りない敬意を払っています。

しかしながら、現在において埼玉朝鮮学校に通う子どもたちは県補助金の対象外とされ「全ての人々の人権に、朝鮮半島にルーツを持つ子どもが含まれないのはおかしいのではないか、それは差別に当たるのではないか」と県当局(学事課等)と数回に渡る面談等を行ってきました。「21世紀は『人権の世紀』と言われるように、全ての人々の人権が尊重され、相互に共存し得る平和で豊かな社会を実現することは 人類共通の願い 埼玉県人権教育実施方針(挨拶から抜粋)」でもあります。

大野知事におかれましては、「あらゆる人に居場所がある共生社会の実現」に向けて、県行政の先頭に立ってご活躍されることに大きな期待を持っております。今後とも、県⺠に開かれた公平で⺠主的な県政の推進のためにご奮闘いただけるよう重ねてお願い申し上げ、就任お祝いのメッセージに変えたいと思います。

以下に私たちの今までの活動の記録などが掲載されていますので、ご覧いただければ幸いです。
https://tomoni-saitama-koreanschool.org

 有志の会 共同代表
  磯田三津子(埼玉大学准教授)
  猪瀬浩平(明治学院大学教授・NPO 法人のらんど代表理事)
  内田淳(さいたま市⺠活動サポートセンター利用者の会共同代表)
  小田原琳(東京外国語大学准教授)
  中川律(埼玉大学准教授)
  渡辺雅之(大東文化大学教授)

 呼びかけ人・団体
  安藤聡彦(埼玉大学教授)
  江藤善章(埼玉・コリア21―今よみがえる朝鮮通信使)
  〈大田尭(東京大学名誉教授) ※2018年12月に逝去されました〉
  金英功(弁護士・埼玉朝鮮学校卒業生)
  金理花(東京外国語大学大学院生・埼玉朝鮮学校卒業生)
  小山真理子(埼玉のうたごえ協議会事務局⻑・埼玉合唱団事務局⻑)
  斎藤紀代美(子どもの人権埼玉ネット事務局⻑)
  辻仁美(まちづくりパーティーズ)
  成嶋隆(獨協大学教授)
  野島久美子(埼玉障害者市⺠ネットワーク代表)
  福岡安則(埼玉大学名誉教授)
  藤田孝典(NPO 法人ほっとプラス代表理事)
  本間信和(筑波大学大学院生)
  溝井萌子(ReDEMOS研究員)
  山下茂(2017年度埼玉弁護士会会⻑)
  S.A.R.H.(Saitama Anti Racism Homies)

 賛同人・団体
  ‒ 埼玉県に関係のある賛同人:291人
  ‒ 賛同団体:2団体
  ‒ 県外の賛同人:4人

声明