細田眞由美教育長のご回答に対する見解

 細田眞由美教育長より、有志の会が4月11日に提出した公開質問状について回答いただきました。

 御多忙のなか、私たちの質問状について検討し、教育長自らご回答いただいたことに感謝いたします。

 回答の内容について、特に文書(『外国人学校児童生徒補助金制度』の見直しについて」)を修正することが明示されたこと(質問2に対する回答)は、今回の交渉による大きな成果だと考えます。

 一方で、質問1論点②③に対する回答については、私たちの質問の意図がくみ取られているとは言えません。「民族教育を否定したり、ましてや差別する意図」があったのか、なかったのかを問題にしているわけではありません。仮に意図がなかったとしても、「無償である市立の小・中学校が選択可能である」という文言が民族教育を無視し、差別を是認することにつながっており、それが公文書として残されていることの問題を指摘したのです。

 先の公開質問状や交渉の場での発言の繰り返しになりますが、在日朝鮮人の保護者の方々は、お金に余裕があるから、朝鮮学校を選択しているのでありません。子どもたちが一人の人間として成長発達していくためには、日本社会に暮らす朝鮮民族としての自らのアイデンティティとどのように向き合うのかが課題になり、それに向き合うための基礎をなす民族言語や歴史・文化の教育を与える必要があると考えるからです。そうした教育を子どもたちに与えることができるのは、朝鮮学校だけです。

 それに対して、無償の公立学校に通うこともできると言って補助金に所得制限を設けるというのは、経済的負担を軽くしたければ、民族教育を諦め、日本人と同じ教育を受けて、日本人に同化しろと言っているのと同じです。「民族教育を否定したり、ましてや差別する意図」がないと言うのであれば、この点をしっかりと反省した上で、朝鮮学校の意義を確認し、積極的に支援していく姿勢を示していただきたかったと考えます。

 今後、文書修正がいつなされるのか注視し、またその修正内容を確認していきます。

 さいたま市教育委員会から、2022年5月6日に文章について送信いただきました。迅速な対応に感謝いたします。
 問題となっていた所得制限の導入に関しては、「外国人学校を選択する様々な理由はあるが、保護者の経済環境は同一でなく、 十分な所得がある保護者へ補助金等を交付する必要性は低いと考えられること から、所得にかかわらず支給していた従来の制度を見直し、一定の所得以下の 保護者に対し補助金を支給する。(所得制限の導入)」という文章に変更されました。
 この点に関する有志の会の見解については、追って公表する予定です。[2022年5月27日追記]

 また質問4に対する回答で明示された教育長の学校訪問が一日も早く実現することを願います。それらを踏まえ、教育長にはさいたま市の教育行政の責任者として、互いの文化や言語、歴史を尊重し、差別を許さない社会をつくりだすメッセージを発していただくことを引き続き要望いたします。

誰もが共に生きる埼玉県を目指し、埼玉朝鮮学校への補助金支給を求める有志の会
共同代表
 磯田三津子(埼玉大学准教授)
 猪瀬浩平(明治学院大学教授・NPO法人のらんど代表理事)
 内田淳(さいたま市民活動サポートセンター利用者の会共同代表)
 小田原琳(東京外国語大学准教授)
 中川律(埼玉大学准教授)
 渡辺雅之(大東文化大学教授)

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