○○○から見る朝鮮学校 その2  学校給食

2018年に文部科学省が行った学校給食に関する調査によると、公立の小学校・中学校において保護者が負担する給食費の平均月額はそれぞれ、4,343円と4,941円でした。また、国公私立学校において学校給食を実施している学校数は全国で 30,092校、実施率は95.2%であり、完全給食(主食、おかず及びミルクから成る給食)の実施率は93.5%でした。学校給食の実施に必要な経費の負担については、学校給食法第十一条及び同法施行令第二条に規定されており、保護者が負担する「給食費」とは通常は「食材料費」のことを言います。もっとも、食材料費だけで給食が提供できるわけではなく、調理員の人件費、施設の光熱費・設備費、修繕費等の経費が必要であり、これらは学校の設置者(市区町村など)が負担しており、それらの原資は住民が納める税金です。

それでは全国にある朝鮮学校では「学校給食」は提供されているのでしょうか。結論から言うと、朝鮮学校は学校給食法の対象外となっているため、学校給食は実施されていません。

朝鮮学校における昼食の状況は概ね3つに分類することができます。一つ目はお弁当持参であり、最も多い事例です。二つ目は自前で調理員を雇って給食を実施している事例であり、寄宿舎を併設している学校で行われています。三つ目が、通学児童・生徒はお弁当、寄宿舎児童・生徒は学校敷地内(もしくは最寄り)にある寄宿舎に昼食を食べに戻るという事例です。時には調理員が寄宿舎児童・生徒のお弁当を作って学校に届けることもあるようです。

埼玉朝鮮初中級学校では通常はお弁当持参ですが、年に5回から10回程度、オモニ(母親)会による「給食」が実施されます。毎日、お弁当を作っている保護者にとっても、「給食の日」は格別なのかも知れません。「食材料費」はオモニ会の会費で賄っていますが、時には地域の在日朝鮮人の方から食材の提供もあるようです。また、年に一回、アボジ(父親)による「給食」も実施されます。これまで、「マグロの解体ショー・寿司」、「巨大パエリア」、「ジャンボピビンバ丼」など、美味しく、児童を楽しませるための趣向を凝らした給食が実施されています。今年は初めて日本の方が腕を振るうとか…。

朝鮮学校は各種学校に位置づけられているために様々な制度・施策から除外されています。「学校給食」もその一つですが、児童・生徒にそのような不利益を感じさせるこのないよう、学校関係者・保護者が一丸となって作る給食は世界で一番美味しく楽しい給食です。

埼愛キムチ新聞第2号(2020年11月7日発行)より


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