3月18日、子ども未来局と交渉を行いました

 新型コロナウイルス感染拡大のために、全国的にマスクが不足する中、さいたま市は保育所など子ども向けの施設や高齢者施設のスタッフ用に、市が備蓄しているマスクを提供すると決定しましたが、その支給先に埼玉朝鮮学校幼稚部が含まれていなかったことに対し、保護者や関係者、当会などによる連日の抗議により、さいたま市は3月13日、マスクの配布対象の拡大を発表しました。しかし、翌日の清水勇人市長によるメッセージは、朝鮮幼稚園への不支給を決めた理由を述べていますが、差別を含む深刻な行為であったことを認めていませんでした。

 この問題に関する報道がきっかけとなって、幼稚園やその母体である埼玉朝鮮学園に対して電話やメール等でヘイトスピーチが寄せられています。マスク不支給は撤回されたとはいえ、行政の決定とその後の態度が、結果として差別拡大に加担してしまったことを、有志の会は由々しき問題ととらえ、再発防止を求めて、3月18日に、さいたま市「子ども未来局」に申し入れを行いました。

 申し入れに対し、子ども未来局金子局長が直接応じてくださったことは、高く評価できます。しかし残念ながら、冒頭の経過説明から、有志の会の質問に対する応答まで、「管轄外であったため配布しなかったのであり、排除する意図はなかった」という官僚的な言い訳に終始し、子ども未来局の「子ども」に朝鮮学校幼稚部の子どもを含めなかったことに対する反省や、再発防止へのしっかりとしたコメントがなかったことは、とても遺憾です。

 有志の会からは、子ども未来局をはじめとしてさいたま市は差別・人権問題の本質を認識し、結果としてヘイトスピーチを招いている責任を、行政として自覚してほしい、再発防止のために当事者に謝罪してほしいと要望しました。

 有志の会は引き続き、誰もが共に生きる埼玉県・さいたま市の実現に向けて、働きかけを強めていきたいと考えています。また、埼玉朝鮮学校に対するヘイトスピーチに対し、「ヘイトスピーチ規制法」の制定を求める取り組みを進める必要性も認識させられました。

申し入れに関する記事
〈さいたま市マスク不配布問題〉市に謝罪と再発防止を強く求める/学校関係者たちが市担当局長と面談(朝鮮新報、2020年3月19日)
面談で見えた行政の軽薄さ/埼玉朝鮮幼稚園へのマスク不配布問題(朝鮮新報、2020年3月19日)