○○○から見る朝鮮学校 その5 朝鮮学校の中の特別支援教育

文部科学省は2007年から学校教育法に「特別支援教育」を位置付け、すべての学校において、障害のある幼児児童生徒の支援をさらに充実させるとしました。

日本全国における義務教育段階の全児童生徒数は989万人と減少傾向ですが、特別支援学級の児童生徒数は約23万6千人と、2007年と比べると2.1倍の増加傾向にあり、今後も増え続けると予想されています(2019年5月1日のデータ参照)。これらの現象は朝鮮学校においても例外ではなく、様々な障害を抱えながらも民族教育を望む保護者や生徒が多く存在しています。

そこで、朝鮮学校の教員たちは2013年、東京を中心に特別支援教育研究会を発足させました。研究会では特別支援教育についての知識を習得し、各学校の経験を共有することによって、朝鮮学校における特別支援教育、生徒全般の精神心理的発育、心のケアなどの充実化を図り、学校教育をより豊かなものに発展させることを目指し、講義や意見交換を行っています。また、それらを在日朝鮮人の福祉関連有資格者、専門家、活動家がサポートしています。

しかしながら、補助金停止等により学校運営資金が慢性的に不足しているため、満足な設備がなく特別支援教育のためだけに教員を配置することが難しいといった理由により、充分な特別支援教育が行えないのが現状です。

また、日本の特別支援教育ではおのずと行政との連携で就労支援まで援助されますが、朝鮮学校ではそのような支援を受けることは難しいため、日本の学校とのダブルスクールなどの方法を選択する保護者も少なくありません。

障害を抱えながらも民族的アイデンティティを持って生きていく、生きていきたい。この当然の権利を守るため、全国の朝鮮学校は模索を続けているのです。

埼愛キムチ新聞第6号(2021年5月15日発行)より


「埼愛キムチ新聞」は埼愛キムチの頒布会毎に発行しています。このページやPDF版を、周りの方々にぜひとも広めていただき、埼玉朝鮮学校をはじめ朝鮮学校の現状を多くの方々に知っていただけたらと思います。